お正月の風物詩で慶應の姿が見れるかも?? 陸の王者、本気で箱根駅伝目指すってよ

”当たり前のことを当たり前にやる”


 

突然ですが、お正月の定番である箱根駅伝にかつて慶應義塾大学が出場していたのはご存知でしょうか?

早慶では圧倒的に早稲田のイメージが強いですが、
慶應義塾は第1回大会から出場し、通算30回出場、総合優勝1回の記録を持つ駅伝の伝統校です。

しかし、1994年第70回大会を最後に20年以上、箱根への切符をかけた予選会を通過出来ずにいます。
そんな慶應義塾大学が、競走部創部100周年を機に箱根駅伝出場を本気で目指す箱根駅伝プロジェクトが2017年から始動しています。
競走部における具体的な取り組みについて長距離ブロック長の田島爽也さんにお話を伺ってきました。

 


以下文中 筆:筆者  田:田島さん

塾生証
氏名:田島爽也たじまさわや

所属:法学部政治学科3年

出身地:埼玉県

役職:慶應義塾體育會競走部長距離ブロック長

詳しいプロフィールはこちら

 

 

慶應義塾の門を叩いたきっかけ


筆:本日はよろしくお願いします。箱根駅伝プロジェクトのお話を伺う前に、まず田島さんご自身について教えてください。

田:法学部政治学科3年生です。慶應には指定校推薦で入りました。
高校は熊谷高校というところで、陸上の強豪ではない普通の公立高校でした。

筆:なぜ慶應に入ろうと思ったのですか?

田:陸上目線で大学を決めていて、早稲田は慶應よりもかなり強く、箱根にも出ているので最初は行きたいと思っていました。
昔お正月に見た箱根駅伝で早稲田が優勝している姿に憧れて、箱根を走りたいと思っていた部分もあります。

ただ自分の実力では厳しいのかなと思い、慶應だったら陸上以外の面でも今後のことを考えた時にプラスになる面があって、かつ指定校の枠もあったので慶應に入りました。
ある程度、身の丈に合わせてという部分はありましたが、箱根を目指したいという気持ちを抱いて入学しました。

 

2年生の春に本格的にプロジェクトが始動


筆:田島さんが入学した当初、箱根駅伝プロジェクトはまだ始動していなかったですよね?

田:そうですね、僕が1年生の冬にその話が持ち上がって始動したのが2年生の初めでした。

 

筆:簡単にいうと、箱根駅伝第1回大会出場の初代4校(明治大学、早稲田大学、慶應義塾大学、東京高等師範学校=現 筑波大学)だけど、長らく出れていないから本気で目指しましょうという活動ですよね。
田島さんはどのような関わり方をされているんですか?

田:箱根駅伝プロジェクトに関しては、OBと大学が主体となってやっているので、
僕は長距離ブロック代表という現役生側のプロジェクトを受け入れる立場で関わっています。
OBの方と連絡のやり取りであったり意見の調整を行なっています。

 

筆:箱根プロジェクトは、SFCの蟹江先生が立ち上げたランニングデザイン・ラボであったり、
選手としての実績ある保科さんがコーチに就任されたりと、2年の春から色々と環境の変化が起きましたが、やはり影響は大きいですか?

田:それまではコーチなしの学生主体の環境だったのでコーチの有無が一番の変化です。
ブロック長が中心になって、高校時代の練習とかを参考に一からメニューを考えていたので、
メニューを考える人の裁量が大きく、どうしても限界がありました笑

 

筆:今はメニューに関わることは一切ないんですか?

田:今はコーチが出したメニューを原則行なって、試合前や状況に合わせて自分で考えて調整可能です。
気軽に話せる関係性なのでメニューは強制ではなくて、提示してくれるというイメージに近いです。

 

保科光作コーチと非常に良い関係性が築けている


筆:プロジェクト開始に合わせて就任された保科コーチは、元々日体大、日清食品と、
陸上の第一線でバリバリに競技をされていた方だと思うのですが、怖いイメージとかはなかったですか?笑

田:最初は絶対怖いだろうなと思っていて笑
第一印象も怖そうだなと思っていたんですけど、わりとすぐにそのイメージは覆されました。

 

筆:練習はどういう雰囲気でやるんですか?

田:オンとオフの切り替えがはっきりしていると思います。
練習後は保科さんも冗談を言ったり選手をいじったりします笑

練習中も頭ごなしに怒ることはなくて、気持ちの面で練習を放棄してしまうことに対しては厳しいのですが、
単純に実力の面で出来なかったことに対して怒ることはないです。

 

筆:うちの母校は専任のコーチがいなかったんですけど、元々の競走部のようにコーチがいない環境は結構よくある話なんですか?

田:自分の高校は一応顧問の先生がいてメニューが提示されて、選手本人の裁量に任される今の環境に近かったです。
自分と同じようなバックグラウンドの選手が多いと思います。

むしろ大学1年の頃は自由すぎるなという思いがあって、良くも悪くも緩い感じがあったと思います。

 

筆:自由度が高いと緩かったりするマイナスな部分の反面、一からメニューを考えたりと自発的にやるよさもあったと思うのですが、コーチがついてから失われてしまったものはありますか?

田:結構難しいですね笑
自分でもあまり答えは出ていないですけど、もちろん今の体制を信じてやるべきだと思います。
1年生の頃、緩いのはそれなりに楽しかったけど、刺激が足りなかったです。

今は楽しさという面では薄れてしまっているかもしれませんが、緊張感だったり雰囲気としては今の環境の方が良いと思います。

 

筆:実際、今の体制になってからの方が結果は出ているんですよね?

田:予選会を突破出来なかったんですけど、記録は少しずつ上がっています。
(初年度は全体27位で箱根まで32分8秒、2年目の今年度は全体26位で箱根まで28分10秒)

予選会ではコーチの指示でレース前に集団走を行い、何個かのグループに分かれて終盤まで維持します。
ただ今年に関しては、箱根に出れるレベルよりも少し下のタイムを目標ラインに設定していました。
前回大会では、予選会敗退校の選抜チームである関東学生連合で選手を輩出することが出来ました。

 

学連選抜としてプロジェクト初年度から選手輩出に成功


筆:先程のお話の続きで、プロジェクト初年度となった前回大会、学連選抜で箱根を走ったのは、確か現4年生の根岸さんですよね。
慶應志木高出身で田島さんの熊谷高校と同じ埼玉県ですが、高校時代は有名な選手だったんですか?

田:県大会も出ていないですし、全然有名ではなかったです。
志木高に少し速い人がいるくらいのイメージでした。

 

筆:根岸さんは高校時代無名とのお話でしたが、田島さんが1年生の頃はどうだったんですか?

田:大学入ってからはずっと右肩上がりで伸びていて、慶應のレベルが今より高くなかったのもありますが、既にエース級の活躍でした。
ちなみに根岸さんは、普段あまり真剣な感じではないです笑
でも箱根をチームで目指すことに対してはアツく語ったりするタイプです。
元々適当な方なんですけど、練習は誰よりも追い込むタイプで、コーチが来てから練習量が増えても怪我をしなかったです。

去年も今年の夏も誰よりも走ってチームを引っ張っていて、単純に速いだけではない強さがありました。
1年生で強い子が入ったこともあってかなり期待していたみたいで、距離感が開きがちな1年生と積極的にコミュニケーションをとって雰囲気づくりを行なっていました。

 

筆:実際に学連として箱根に選手を輩出して、競走部にとって影響は大きかったですか?

田:応援も大勢で行って真近で見ていて、少なくとも長距離の選手はみんな箱根に出たいと思っています。
主務やマネージャーといったサポートのスタッフも、箱根に出て当日のサポートをしたいと言ってくれる人が増えたと思います。

長距離のマネージャーの先輩も引退の時に、一番の思い出は根岸を箱根で当日サポートできたことだとおっしゃっていて、裏方の人に対しても大きな影響を与える大会だと思いました。
新入生もAOで入った子以外に公立で陸上の強い学校から入部した子がいてやっぱり影響はあると思います。

 

強化に対するこれからの課題


筆:短距離はSFCにAO入試で入る子がちらほらいますけど、長距離はあまりいないんですか?

田:体制始まる前は全然いなかったです。体制始まってからAOの指導もするようになり、今年の1年生も一人全国レベルの選手が入りました。
徐々に増えていくことを望んでいるのですが、やはり受からない部分もあるので。

 

筆:選手が基本一般入試だったのは前回出た頃と変わらないと思うのですが、出れなくなってしまっている要因は何がありますか?

田:当時もシード権ではなくて予選会からの出場だったのですが、各選手のベストタイムを比較すると今とあまり変わらないです。
当時は強化をしている学校が少なかったのに対し、何十校も今は強化をしているので高速化も進み、慶應が取り残されたという印象です。

 

筆:今強い青山学院大は自分が小さい頃の記憶だと出てたかも怪しかったし、出ても繰り上げスタートが当たり前くらいの印象ですが、どのくらいの期間強化をして結果を出しているんですか?

田:青学は確か10年ちょっと前に今の原監督が来て強化が始まり、5年くらいで箱根に出たのである程度長い時間をかけて強化をしています。
慶應もお手本にしていて長期的な目線で強化に取り組んでいます。
箱根駅伝プロジェクトでも100回大会(6年後の2024年1月)までに出場することが目標で、それまでは初年度の根岸さんに始まり、毎年学連で選手を送り出せたらと思っています。
みんなが学連での出場を目指せば必然的にタイムも短くなるはずなので。

慶應義塾高校ともプロジェクトの取り組みで連携をしていますが、速い子が大学と一緒に練習をしているくらいで、大学が受けているランニングデザイン・ラボやメディカルのサポートを受けたりはしていないです。 SFC高や志木高に関しては情報をチェックするくらいにとどまってしまっています。
一貫校から大学4年間まで競技を行う一連の流れを作ること
が課題です。

 

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箱根駅伝出場は夢ではなく、明確な目標

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